競馬は上位に来る馬を予想、的中することで配当が得られます。
そして1頭より2頭、2頭より3頭、その順番も正確に当てた方がより大きな配当となります。
そのため、着順も含めて上位に来る馬の正解を選ぶことを目標とするゲームと認識されています。
しかし、実際に着順を精度高く的中させることは可能なのでしょうか?
世の中には、競馬に精通した人は沢山いますが、生涯の収支でプラスになっている人はほとんどいません。
また、的中精度が高いから結果を残している人を僕は知りません。
ここでは、競馬の根本的な考え方を見直して、利益を出す、あるいは負けを減らすために必要な方法を考えてみます。
着順という未来は決まっていない
いきなり哲学的な話になってしまいますが、未来というのは未知であることが前提です。
なので、未来の結果は誰にも分かりません。
ここがポイントで、もし未来(競馬であれば数分後の結果)が絶対不変なものであれば、どうにかして正解にたどり着くために知恵を絞ることで、精度が向上する可能性はあります。
ただ、未来の出来事は誰にも分からないからこそ未来であり、そこは追い求めても意味がありません。
結論から言えば、競馬の着順予想そのものは意味がないということになります。
未来の結果は誰にも予想できないのが前提ですから、いくら予想をしてみてもどうなるのかは未来が現在になるまでは分からないのです。
配当は人気で変化する
競馬というギャンブルでは、配当が変化することが特徴です。
今さら何を当たり前のことを、と思うかもしれませんが、これは競馬で収支向上を狙う上で外せない前提です。
馬券を購入した総額の一部が控除され、残りを的中した人で分配する仕組み上、人気の高い馬券は的中者が多いため、配当が少なくなります。
逆に人気のない馬券は的中者が少ないため、一人当たりの配当は多くなります。
これを要約すると、人気のある馬=強い馬は配当が小さく、人気のない馬=弱い馬は配当が高くなるのです。
ただし、これは原則です。
強い、弱いは客観的に評価されているでしょうか?
正確には、馬券購入者が買うのは「強い馬」ではなく、「強いと思う馬」で、「上位に来る馬」ではなく、「上位に来るであろう馬」です。
配当は強さに「概ね」比例して変化しますが、絶対的な強さを反映したものではありません。
人気=強さではない
人気のある馬は「概ね」強いと言えますが、客観的な評価ではありません。
競馬をする人ならわかると思いますが、同じくらいの戦績でもそのキャラクターで人気が違ってきます。
わかりやすい例で、「毛色」を扱ってみます。
同じ強さの馬でも目を引く毛色であれば、人気が出やすくなることは想像に難くありません。
最近では白毛の馬がG1戦線にいますが、彼女が黒鹿毛であれば、わずかながらも配当は上がったのではないかと想像できます。
白色の馬は珍しく、さらに強いとなれば注目されます。
競馬をするのはお金を最優先に考える人ばかりではなく、記念であったり、一見(いちげん)でする人、付き合いで、運試しに・・・など様々だと思います。
馬券の購入を「珍しい毛色だから」という理由で買う人も一定数いるはずです。
馬の実力とは関係のない要素で購入する人、事もあるのです。
それでも競馬配当の仕組みでは、人気になれば配当は下がるわけですから、「白毛の馬」は同じ実力の馬を検討する場合、配当が低い=馬券としての魅力が低いということになります。
馬の実力は評価と完全比例しない
では、「毛色」の様に馬の力と関係ない要素ではなく、実際に実力を測る上で重要な要素ではどうなるでしょう。
わかりやすく前走の成績を扱ってみます。
前走がG1で1着だった馬は、前走の成績という括りではこれ以上ない評価になります。
当然、多くの人が「買い」の判断を下す要素になるでしょう。
こういった馬は実績から強いことが証明されていますから、着順予想という点では買いですが、当たった時の配当という点では「見送り」の「材料」になります。
ただ、ここで問題になるのは、「買う要素」=「見送る要素」にはならないことです。
買う要素が強い馬は馬券が買われる可能性が高くなるものの、あくまで「相対的」で、全員が買うわけではありません。
具体的に説明すると、前走G1で1着という要素でたくさんの人が買う判断をした場合、確かに人気は上がり、配当も下がりますが、その要素(G1で1着)が配当が下がる以上に1着になる価値があれば、馬券としての魅力はマイナスにはなりません。
配当が下がる要素であっても、問題になるのは「下がること」ではなく、「どの程度下がるか」になります。
逆にいえば、実際には馬の強さを示す要素として重要な割に、多くの人が気にも留めず、馬券がそれほど買われないのであれば、相対的に馬の実力は人気以上となり、配当的に魅力があることになります。
要素と購入の「相対」
これまでの例では買う要素を扱ってきましたが、逆に買わない判断をする要素はどうでしょうか。
次は適正距離を扱ってみます。
例えば、これまでに2000m以上の距離で善戦したことのない馬が2400mに出走した場合、購入判断としては見送りとする人は増えるはずです。
購入しないということは別の馬が買われ、相対的にはその馬の配当は増えます。
適正距離は、敗因、勝因に関係者が理由に挙げることが多く、購入者も気にしている要素で、多くの人が気にするあまり、適正距離が合わない馬を過剰に低く評価してしまう可能性が高いかもしれません。
関係者が口にすることから、現実的に重要であることは疑いなく、的中させるためには積極的に買うべき要素ですが、購入者全体が気にしすぎれば、馬券が過剰に買われ、その馬の価値を低く見積もってしまうことになります。
馬の評価は複合的
買いたくなる要素を数多く持つ馬は適正な評価をされていると言えるでしょうか?
個人的には、NOだと思います。
これまでは、僅かな要素で説明してきましたが、実際には数多くの要素を検討して購入を決めているはずで、次は極端な例を考えてみたいと思います。
前走1着で持ちタイムや上がりの速さもあり、コースや距離の適正もある、鞍上はトップレベルで血統背景も完璧。
そんな馬がいれば、おそらく単勝人気は1点台でしょうが、実力以上に評価されている可能性が高くなります。
考えつく様々な要素で見送る理由がなく、みんなが買うからです。
ただ、実際には、全てが完璧な馬はいませんし、仮に完璧と思われていても、面白いもので、人は強すぎるとマイナスとなる要素を探す心理が働きます。
競馬の着順予想においては、プラスとマイナス要素が複合的に混在していて、購入者は取捨選択をしながら、最終的な判断をしていることになります。
オッズそのものも重要な要素
これも競馬経験者ならあるあるだと思いますし、強すぎるとマイナスとなる要素を探すことに通じます。
あまりに配当が低い場合、敢えて1番人気を見送るケースです。
多くの購入者は基本的には勝ち負けを左右しそうな要素を検討しますが、お金が絡む以上、配当そのものもかなり意識します。
先ほどの様に買うべき要素がてんこ盛りの馬が過剰評価になり切らないのは、配当が関係しています。
単勝1点台だと当たっても旨みが少ないため、敢えて2番手、3番手の馬を選ぶ心理が出てきます。
結局、配当は相対的に増減するため、強すぎる馬は配当を理由に評価を下げます。
この要素はかなり強く、予想当てをゲームの根幹としながらも、競馬がお金を得たい人の集まり、「ギャンブル」であることを強く証明しています。
これは、過剰に人気したケースだけの現象ではありません。
配当が著しく高い(人気がない)馬についても同様で、配当が高いという理由で買う人がかなり多いことは結果が証明しています。
実例として、単勝100倍を超える人気薄の馬の長期間の(単勝)回収率をみると、平均の80%を大きく下回り、50%程度に止まります。
これは、馬の実力以上に馬券が買われている証拠で、多くの人が宝くじ感覚で最低人気馬、あるいは万馬券を買っているのだと推測できます。
このように、馬券購入者は、着順予想をする一方で、お金の計算で向き合う考えがあることも考慮する必要があります。
難しく考えずにそのオッズが妥当かどうかの判断をする
色々と考えると難しくなりがちですが、単純にその馬の勝つ確率がオッズ以上にあるかどうかで考えると思考がクリアになると思います。
例えば、単勝100倍の馬なら、100回レースをして1回以上1着になる程度の実力があれば買いですし、なければ見送りです。
逆に単勝2倍なら、2回に1回は勝てないなら買う価値はありません。
このように考えると、単勝2倍の馬はライバルがたくさんいる中で、2回に1回の割合で勝てるでしょうか?
個人的には、レースの条件や不利を受ける可能性、ライバルの強さ、騎手の駆け引きなどがある中で、2回に1回勝つだけの実力、他馬と力の差のある馬はそれほど多くないと思います。
相対的には秀でていても、毎回のように勝つのは至難の業だと思います。
その証拠に、1番人気の馬の勝つ確率は長期的には3割台で、単勝オッズが2倍以下でも4割がいいところです。
よく、「銀行馬券」などと言って単勝1点台の馬に大金を投じる人がいますが、正答率4割の勝負に挑んでいるわけですから、冷静に考えれば勝てるわけはありません。
出走馬の中では勝率が高いことは明らかな事実ですが、それはあくまで相対的な話であって、競馬の特性上、9割の確率で勝つような馬はあり得ないものと思っておきましょう。
まとめ
競馬の勝ち方、勝つための考え方について紹介しました。
紹介した考え方は、あくまで個人的な意見で、収支の向上を保障するものではありません。
ただ、競馬の仕組みにおいて、人気がオッズに反映され、未来が分からないという前提では、人気と実力の乖離を狙って期待値のある馬を選ぶ以外に勝つこと、収支を上げることは難しいと思います。
ちなみに、こういった考え方で馬を選ぶと、年間収支で平均控除率を超えるのは、僕の体験上間違いないため、大きく負けている人は参考にすると良いかもしれません。
一番は、実際に要素ごとにデータの裏付けを取るのが理想ですが、そこまでしなくても、誰もが買いたくなる要素を過剰に評価しないだけでもわりと収支は向上するものです。
また、人気薄過ぎる馬も回収率が著しく落ちるため、これも避けるべきでしょう。
考えるのが面倒な人は1番人気と単勝100倍を超える馬を避けるだけでも長期的には収支は平均以上になるはずです。
※ただし、保障はできませんので自己責任でお願いします。
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